この記事のポイント

  • 購入されない理由は、集客不足だけでなく、費用、決済、商品情報、操作性、信頼感など複数の場所にあります。
  • カゴに入れたあとに購入をやめる「カゴ落ち」は、送料や会員登録など、最後の手続きで起きやすい問題です。
  • 原因を感覚だけで判断せず、サイト内のどの段階で離脱しているかを確認すると、改善点を見つけやすくなります。

はじめに

ECサイトにアクセスはあるのに、なかなか購入されない。カートには商品が入るのに、注文完了まで進まない。このような状態になると、広告やSNSで訪問者を増やすことに目が向きがちです。

しかし、購入に至らない原因は集客だけとは限りません。商品ページを見たあと、カートに入れたあと、決済画面へ進んだあとなど、購入までのそれぞれの段階に離脱の理由があります。

この記事では、ECサイトに詳しくない方にも分かるように、購入されない代表的な理由を整理します。

売上は3つの数字に分けて考える

ECサイトの売上は、次のように分解して考えることができます。

売上 = 閲覧数 × 購買率 × 客単価

ここでいう閲覧数は、サイトや商品ページを見た人数・回数です。購買率は、訪問した人のうち購入した人の割合。客単価は、1回の注文で使われる平均金額です。実際に計算するときは、同じ期間・同じ範囲の数字を使います。

どの数字を改善するかを考える

  • 閲覧数が少ないなら、検索、広告、SNS、既存顧客への案内など、サイトへ来てもらう方法を見直します。
  • 閲覧数はあるのに購入が少ないなら、商品情報、価格、送料、決済、操作性、信頼感など、購買率を下げている要因を確認します。
  • 購入はされているものの売上が伸びないなら、セット販売、関連商品の提案、まとめ買いなど、客単価を高める方法を検討します。

たとえば、閲覧数を2倍にするよりも、商品ページの不安を減らして購買率を少し上げるほうが、少ない施策で売上につながる場合があります。大切なのは、思いついた施策をすべて行うことではなく、数字を見て改善する場所を選ぶことです。

まず知っておきたい「離脱」と「カゴ落ち」

「離脱」とは、ユーザーがサイト内の次のページへ進まず、途中で閲覧をやめることです。商品ページからカートへ進まない場合も、決済画面から戻ってしまう場合も離脱に含まれます。

「カゴ落ち」とは、商品をカートに入れたのに、購入完了まで進まずにサイトを離れることです。購入する意思がある程度見えているため、カゴ落ちを減らせると売上改善につながりやすくなります。

1. 費用・決済・手続きのハードル

購入直前の画面で「思っていたより高い」「手続きが面倒」と感じると、商品が欲しくても購入をやめてしまいます。

送料や手数料が後から表示される

商品価格だけを見てカートに入れたあと、決済直前になって高い送料や手数料が追加されると、予算を超えてしまうことがあります。最初から送料の条件や手数料を分かりやすく示し、合計金額を早い段階で確認できるようにすることが大切です。

希望する決済方法がない

クレジットカードだけでなく、PayPayなどのスマホ決済、Apple Pay、あと払いなど、利用したい支払い方法は人によって異なります。希望する決済方法が選べないと、購入をあきらめる場合があります。

ただし、決済方法は多ければよいとは限りません。自社のお客様が使いそうな方法を確認し、分かりやすく安全に利用できるものを用意することが重要です。

会員登録を強制される

購入前に会員登録を必須にすると、入力項目が増え、急いでいるユーザーや初めて利用するユーザーの負担になります。会員登録なしで購入できる「ゲスト購入」を用意し、登録のメリットは購入後にも伝えられるようにすると、手続きを進めてもらいやすくなります。

2. 商品情報が足りない

実物を手に取れないECサイトでは、商品ページの情報が購入判断を支えます。情報が少ないと、「届いてみたら想像と違うかもしれない」という不安が大きくなります。

サイズや使用感が分からない

商品の写真が少ない、サイズの実寸がない、素材や重さが分からない、使用している場面が想像できない。このような状態では、購入後の失敗を心配して見送られることがあります。

商品そのものの写真に加えて、サイズ比較、使用シーン、素材の説明、取り扱い方法などを掲載すると、購入後のイメージを持ってもらいやすくなります。

レビューや第三者の声がない

レビューは、実際に購入した人の感想です。商品ページにレビューや利用者の写真があると、販売者が一方的に説明するだけでなく、第三者の視点から商品を検討できます。

レビューがまだ集まっていない場合は、購入者へ投稿を依頼したり、質問と回答を掲載したりする方法もあります。評価を良く見せるために内容を加工するのではなく、実際の声を分かりやすく紹介することが信頼につながります。

今買う理由が伝わらない

「あとで買えばよい」と思われると、購入は後回しになります。在庫数、販売期間、季節性、割引、ポイントなど、今購入する理由が分かると判断しやすくなります。

ただし、根拠のない残りわずか表示や過度な煽りは、かえって不信感につながります。実際の在庫や販売条件に基づいて案内しましょう。

3. 操作性や表示速度に問題がある

商品が魅力的でも、サイトが使いにくいと購入まで進めません。操作性の良さを表す「UX(ユーザー体験)」は、ページの見た目だけでなく、探す・読む・入力する・決済するという一連の体験全体を指します。

ページの表示が遅い

Google/SOASTAの2017年調査では、モバイルページの読み込みが1秒から3秒になると、離脱(bounce)の確率が32%増えると報告されています。ただし、これは特定の調査結果であり、すべてのECサイトに「3秒で必ず離脱率が上がる」と当てはめるものではありません。

この調査の詳細は、 Google/SOASTAのモバイルページ速度調査 で確認できます。

スマートフォンで操作しにくい

スマートフォンでボタンが小さい、文字が読みにくい、入力欄をタップしづらい、画面が横にはみ出すといった問題は、購入手続きを難しくします。実際のスマートフォンで商品選択から注文完了まで操作し、ストレスがないか確認することが大切です。

サイト内検索で商品を見つけられない

商品数が増えると、ユーザーはメニューやカテゴリーだけでは目的の商品を見つけられないことがあります。商品名、メーカー名、用途、カテゴリなどで検索でき、表記の違いにも対応できると、欲しい商品へたどり着きやすくなります。

4. サイトの信頼性が伝わらない

初めて利用するECサイトでは、「この店に注文して大丈夫か」という不安が購入の最後の壁になります。デザイン、運営者情報、返品条件、問い合わせ先など、安心材料を確認できる状態にします。

デザインが古い、または表示が崩れている

古い印象のデザインや、スマートフォンでのレイアウト崩れは、サイトの更新が止まっているように見えたり、注文後の対応に不安を与えたりします。商品ページだけでなく、カートや問い合わせページも確認しましょう。

返品・交換の条件が分からない

サイズ違い、破損、不良品、注文間違いなどが起きたとき、返品や交換ができるのか、いつまでに連絡すればよいのか、送料は誰が負担するのかが分からないと、購入をためらいます。購入前に確認できる場所へ、具体的な条件を掲載します。

運営者情報や問い合わせ窓口が不十分

会社概要、運営者名、所在地、連絡先、問い合わせフォーム、よくある質問などが見つからないと、トラブル時の連絡先が分からず不安になります。問い合わせを受け付けていることだけでなく、返信までの目安も伝えると安心感が高まります。

5. どこで離脱しているかを確認する

改善を始めるときは、サイト全体を一度に変えるのではなく、購入までの流れを分けて確認します。

集客:広告や検索、SNSなどから訪問者が来ているか。

商品ページ:商品ページを見た人が、カートへ進んでいるか。

カート:商品をカートに入れた人が、決済画面へ進んでいるか。

決済:決済画面へ進んだ人が、注文完了まで到達しているか。

たとえば、商品ページの閲覧は多いのにカート追加が少ないなら、商品情報や価格、購入ボタンを見直します。カート追加は多いのに注文完了が少ないなら、送料、決済方法、会員登録、入力エラーなどを確認します。

まとめ

ECサイトで購入されない理由は、集客不足やURLへの不安だけではありません。送料や手数料、決済方法、会員登録、商品情報、レビュー、サイトの操作性、信頼感など、購入までのさまざまな段階にあります。

まずは自分のサイトをスマートフォンで実際に操作し、商品を探してから注文完了まで進めてみましょう。そのうえで、どの段階で迷うか、どの情報が不足しているかを確認すると、改善の優先順位を決めやすくなります。

ECサイトは、訪問者を増やすだけでなく、安心して商品を選び、納得して支払いを完了できる流れを整えることが大切です。小さな不安や面倒を一つずつ減らすことが、購入率の改善につながります。