この記事のポイント

  • EmDashは、記事やサイトの情報を構造化して管理できるCMSです。
  • MCPを使うと、AIエージェントへ自然言語で記事管理を依頼できます。
  • Portable Textによって、記事の意味や構造を保ちながら編集しやすくなります。

はじめに

記事の執筆や更新を続けていると、本文を書く作業だけでなく、タグの整理、カテゴリーの見直し、SEO用の情報の設定、下書きの保存など、管理画面での細かな作業が増えていきます。

EmDashは、こうした記事管理をAIエージェントと組み合わせて行いやすいCMSです。この記事では、EmDashの基本的な考え方から、MCPによる連携、Portable Textがもたらす安全性、導入時の基本的な流れまでを初心者向けに整理します。

EmDashとは

EmDashは、Cloudflareが公開したフルスタックのサーバーレスCMSです。従来のCMSが人間による管理画面の操作を中心に設計されているのに対し、EmDashはAIエージェントがプログラム経由でコンテンツを管理する使い方にも対応しやすい設計になっています。

記事の本文だけでなく、タグ、カテゴリー、コンテンツタイプ、各種設定などを構造化して扱えることが特徴です。管理画面から操作することもできますが、AIエージェントに作業内容を自然言語で伝え、必要な処理を任せる運用にも向いています。

EmDashのMCPサーバーの仕様は、 公式ドキュメント で確認できます。

MCPによるAIエージェント連携

EmDashには、MCP(Model Context Protocol)サーバーが用意されています。MCPは、AIエージェントと外部アプリケーションを接続するための標準的なプロトコルです。

MCPで接続すると、これまで管理画面から手作業で行っていた作業を、AIエージェントへのチャット指示で実行できるようになります。たとえば、記事の内容を確認してタグを付けたり、構成案を作って本文を書き、SEO用の情報を設定したうえで下書きとして保存したりできます。

AIエージェント連携でできること

  • タグ・カテゴリーの自動管理:記事の内容をもとにタグを付け、表記揺れの統一や不要なタグの整理を依頼できます。
  • コンテンツタイプや設定の管理:記事の管理だけでなく、サイト設定なども、対応する権限と接続環境があれば依頼できます。
  • 記事の執筆と編集:テーマを伝えて構成案、本文、SEO用メタデータを作成し、下書き保存までを一連の作業として進められます。

Portable Textが記事管理を安全にする理由

EmDashとAIエージェントの組み合わせを支える重要な要素が、記事データをPortable Textという構造化されたJSON形式で保存する仕組みです。

従来のHTMLでは、文章とデザインのタグが一つのテキストに含まれていることがあります。そのため、AIや人間が一部を編集するときに、タグやショートコードまで誤って削除してしまう可能性があります。

Portable Textでは、見出し、本文、画像などが意味ごとのデータブロックに分かれています。AIエージェントは、修正対象のブロックを特定し、その中身だけを読み書きできます。記事の構造を保ったまま編集しやすいことが、Portable Textの大きな利点です。

HTMLとPortable Textの違い

  • データの保存状態:HTMLでは文字やデザインのタグが一つのテキストに含まれがちですが、Portable Textでは意味ごとにデータが分かれています。
  • AIによる編集:HTMLは記号を誤って消して表示崩れにつながる可能性があります。Portable Textは目的のブロックを指定して編集しやすくなります。
  • デザインとの関係:Portable Textではコンテンツと表示の仕組みを分離しやすく、Webサイト以外の媒体にも流用しやすくなります。

Portable Textの具体例

Portable Textでは、記事の見出しや本文、画像をそれぞれデータブロックとして管理します。たとえば、見出しは見出しとして、画像は画像として扱えるため、AIエージェントが記事の意味を確認しながら編集できます。

article.json
[
  {
    "_type": "block",
    "style": "h2",
    "children": [
      {
        "_type": "span",
        "text": "AIの使い方"
      }
    ]
  },
  {
    "_type": "image",
    "asset": {
      "url": "https://example.com/ai.jpg"
    }
  }
]

この構造を利用すると、記事全体を一つの長いHTMLとして書き換えるのではなく、「この見出しの下にある段落だけ修正する」「すべての記事に共通のタグを追加する」といった作業を、対象を絞って実行できます。

初心者向け:記事管理を始める3ステップ

EmDashでAIエージェントと連携した記事管理を始めるときは、最初から複雑な自動化を目指す必要はありません。次の順番で、小さな作業から試すと仕組みを理解しやすくなります。

  • MCP接続をセットアップする:EmDashのインスタンスからMCP接続情報を取得し、利用するAIエージェントに登録します。初回に設定すれば、その後は同じ接続を利用できます。
  • タグと構成を整理する:過去の記事を読み込ませ、記事ごとに適切なタグを付けたり、似たタグを統合したりします。構造化されたデータの扱いやすさを実感しやすい作業です。
  • 記事の作成と一括管理を依頼する:「このテーマの記事を作成して、SEOタイトルを設定し、下書き保存して」といった指示で、日々の管理作業を自動化します。

WordPressにもMCPはある?

WordPressにも、公式の「MCP Adapter」が提供されています。MCP Adapterを使うと、WordPressで公開されたAbilitiesをAIエージェント向けのMCPツールとして利用できます。記事の取得・作成・更新、サイト情報の確認なども、対応するAbilitiesが公開されていればAIエージェントから操作できます。

ただし、MCP Adapterをインストールすれば、WordPressのすべての機能が自動的に使えるようになるわけではありません。MCP Adapterの導入に加えて、WordPressのAbilities APIで機能を登録し、必要な機能だけをMCPサーバーへ公開する設計が必要です。認証や権限の設定も欠かせません。

  • MCP AdapterをWordPressへ導入する
  • WordPressのAbilities APIで機能を登録する
  • 必要な機能だけをMCPサーバーへ公開する
  • 認証と権限を設定する

WordPressの標準エンドポイントは、次のような形式です。

https://example.com/wp-json/mcp/mcp-adapter-default-server

EmDashとの違いは、EmDashが最初からAIエージェント連携を前提に設計されているのに対し、WordPressは既存のプラグインや独自機能をAbilitiesとして登録し、MCP経由で公開していく方式であることです。EmDashはAI連携を組み込みやすく、WordPressは既存サイトを段階的にAI対応できる、という違いがあります。

詳しい仕様は、 WordPress公式のMCP Adapter解説 を参照してください。

まとめ

EmDash、MCP、Portable Textを組み合わせると、記事管理は管理画面で一つずつ操作する作業から、AIエージェントへ自然言語で依頼する作業へ広げられます。

Portable Textによって記事の構造が保たれているため、AIエージェントは見出しや本文など、意味のある単位でコンテンツを扱えます。まずはタグの整理やSEO用メタデータの生成など、結果を確認しやすい作業から始めるのがおすすめです。

EmDashで記事管理やサイト運営を効率化したい場合は、現在の運用や必要な機能を整理したうえで、AIエージェントとの連携方法を検討してみてください。